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2011/07/03

傘とワインとメローイエロー

 「ちょっとヘンテコだけど機能美がある、というのをあげたかったんですよね」

 そう言って、ある女の子が黄色い傘をくれた。
 わたしは一年前から、週に一度、日曜日だけコーヒー屋でアルバイトをしていて、彼女とはそこで出逢った。

 わたしよりも二学年歳下の彼女は、高校卒業後に宝飾の道に進み、現在もアルバイトと平行してシルバーアクセサリーをつくっては、年に何度か仲間と合同個展をしているらしい。加えて言うとデルフト・ブルー色のドルチェ&ガッバーナの眼鏡をかけていて、美容師と話すのが嫌だからという理由で、もう2年も髪を伸ばし続けているような子だ。 ブーツカットのデニムを愛用している西海岸のちょっとダサ目のカルフォルニアガールのような佇まいの彼女は、生真面目な劇団員のようにハキハキと喋る。そして、週に一度しか働きに来ないわたしを、妙に慕ってくれているのだ。
 それにしても、わたしは誕生日のことをアルバイト先で話した覚えがないから、不思議だ。彼女はどうやって知ったのだろう。もらった傘は一面にコラージュのようなイラストが絵描かれている、山田秀寿さんというアーティストのデザイン傘だった。

「黄色を選んだのには、理由、あるんです」

 彼女からは、なにやら意味深なことを言われた。けれど、敢えてその意味をきかないでおいた。おそらくその言葉には、彼女なりのヤワヤワとした優しい気持ちがこめられていたので、わたしはその色や香りを深く詮索せずに、調度良いあんばいで曖昧ふぅわりとさせておこうと思ったのだ。
 OFESSという香港の新鋭ブランドの物らしいその傘には、『ENJOY RAINY DAYS』というコンセプトがゴシック体の太い英字で印刷されていた。

 あるお休みの日に彼女がどこかへ出かけ、その帰り道、駅の近くのデパートに立ち寄り、わたしのことを思い出し、ありとあらゆる品々が陳列されたおもちゃ屋や文房具店を物色しながら、プレゼントを選んでくれたのだろう。もしかしたら、ユニクロにも立ち寄ったかもしれないし、食器を扱うお店を覗いたかもしれない。その光景を思い浮かべると、とてもうれしい気持ちになった。できることなら、デパートの売り場をうろうろする過去の時間の中にいる彼女を見つけて、もう一度ありがとうを言いたいなと思ったりした。

 彼女もわたしも同じ六月生まれなので、雨の日を楽しめる何かをお返しするのはどうだろう。

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