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2011/11/01

アイロンからの考察


《 アイロン掛けが もっとうまくなりたい 



 アイロン掛けというのは、とても奥が深いのだと、なんでもない平日の昼下がりに気がついてしまった。

 それは、ある部分を整えてからまた別の部分を整える時、一寸前にプレスしてシワひとつなくなった部分が常に新しいシワの脅威にさらされるからだ。

 例えば野球グラウンドのトンボがけや、(やったことないけれどたぶん)石庭にほうきで砂紋を描く時のように、どこから始まり・どこで終わるのか、その道筋を頭で考えてからでないと上手くアイロンをかけることはできない。しかし、この2つの例が平面の世界を相手にしているのに対して、アイロンがけの場合はシャツやブラウス・スラックスのような幾つかのパーツが集まって出来た洋服が相手だ。言ってみれば、3Dにはびこっているシワを相手に作業していかなければならないため、トンボやほうきのように一筆書きができない。

 事によると、甲子園のグラウンドをテレビに映せるレベルに整えるより、龍安寺の石庭をつくるよりも、世のお母さんたちのアイロン掛けの方が高度な技かもしれない。
もちろん、ちょっとオーバーな解釈なのはわかっているけれど、この比喩を使いたかったから無理矢理ねじこんだという訳でもない。毎日当たり前のようにシャツを着ている人にこそ、アイロン掛けの妙技を伝えたいものだ。


***




 シャツにアイロンをかける時は、まず襟をプレスする。

 人の視線に一番さらされる襟がよれてちゃ、どんなお洒落なシャツを着ていたって元も子もない。だから真っ先に襟に取りかかるのかもしれない。

 それから次は肩だ。

 例えば後ろ姿の場合、肩から背中の上部にかけた、一枚布の肩ヨークが絶対的に視線にさらされやすい。だから、ここぞとばかりに丁寧にアイロンをすべらせなくちゃならない。

 今度は袖の先にあるカフスと呼ばれる部分をアイロンの先をつかって整えていく。ボタンの周りをくるっとまわりながらテキパキと、ここはあまり時間をかけないでむしろリズミカルなくらいがちょうど良い。


 そしていよいよ袖をプレスする。

 シャツの部位が映画のキャストだとしたら、袖はさながら助演といった所だろうか。肩からカフスに掛けた袖の側面ラインがきっちり一本線で立ち上がるように、袖のシワを勢い良く伸ばしていく。

 最後は身頃と呼ばれる広範囲だ。

 前面はシャツにとってまさに看板なので、堂々と美しく仕上げる。ハイドンの交響曲のように堂々と。もちろん背面も大切だと思う。シャツを着た時の佇まいに清潔さをプラスするのは、何と言っても背面の伸びやかな勢いが必要だ。ともあれ、シャツの主役であるのはやっぱり身頃という全体だから、前面と背面に注意深くアイロンをすべらせていくのだ ー 。


***



 往々にして、モノゴトを細かく潔癖に整頓しがちなわたしには、全体把握の意識が足りない。

 今日のアイロン掛けにしてもそうだ。小さなシワが気になって、三歩進んで二歩下がるばかり。なかなか仕上がりに納得することができず、時間ばかりが過ぎていった。
 なんというか、アイロンがけを手早く上手にできるということは、『部分と全体を常にとらえながら完成させる』という柔軟で広い視野のイマジネーションがある、ということかもしれない。そして、人間関係も、仕事も、遊びも、思考も、スタイルも、パーツパーツを完璧にすれば、トータルが満ちる訳ではないと気がついた。

 こんな事、多くの人はもう知っているのかもしれないと思うと恥ずかしいけれど、あの瞬間、確かに自分がレベルアップする音が聞こえたような気がする。おまけに、アイロンから立ち上る蒸気からは、とても幸福な休日の香りがした。



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